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今だからできること~SDGsに取り組もう~

妙心寺派SDGsポスター

SDGs(エス・ディー・ジーズ)SDGsロゴ

 

 

 

◆SDGsってなあに?

 

 近ごろ、このカラフルなマークのバッジを胸に付けている人をテレビなどでよく見かけます。

 また、SDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉そのものもよく耳にします。

 しかし、いったい何のことかと聞かれても、その意味をきちんと答えられる人は多くないようです。

 

 この言葉は、「Sustainable Development Goals(サステイナブル・ デヴエロップメント・ ゴウルズ)」の頭文字を取った略称で、「持続可能な開発目標」と訳されています。

 この「目標」は、2015年9月の国連サミットで採択され、国連に加盟している193ヵ国が2016年から2030年にかけての15年間で達成することを目指して掲げているものです。

 

 カラフルなマークは、17の色から成っています。

 そして、その17の色に合わせて17の大きな「目標」が立てられています*

 それらの「目標」には、「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」など、一見すると国家レベルでしか対応できないように見えるものもありますが、「5.ジェンダー(性差)平等を実現しよう」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「10.人や国の不平等をなくそう」「13.気候変動に具体的な対策を」などのように、人権やエネルギー問題に絡んで、私たちにも今できることがありそうです。

 

 この地球が、そしてそこに暮らす人たちが、争うことなく誰もが幸せに暮らせるよう、私たち一人一人が主体的に関わり、積極的に取り組んでいきたいものです。

 

*17の「目標」は次の通りです。(詳しくは外務省のHP等を参照して下さい。)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

1.貧困をなくそう 2.飢餓をゼロに 3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 6.安全な水とトイレを世界中に 7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに 8.働きがいも経済成長も 9.産業と技術革新の基盤をつくろう 10.人や国の不平等をなくそう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任 つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を 14.海の豊かさを守ろう 15.陸の豊かさも守ろう 16.平和と公正をすべての人に 17.パートナーシップで目標を達成しよう

 

 

◆妙心寺派の取り組み

 

知足ポスター

 冒頭のポスターの図案に使われているのは、龍安寺にある有名な蹲(つくばい)です。

 

 皆さんもご存じのように、真ん中の「口」の字を4つの漢字に当てはめ、「吾唯知足(われるを知る)」と書かれています。

 この「そく」にちなんだ取り組みを、妙心寺派では既にSDGsが出る3年前の2012年から始めていました。そして「知足~生活点検6項目」(右の写真参照)として、「省エネ」「リサイクル」「生かす」「節電」「節油」「節水」を提唱してまいりました。

 今、改めてこの「知足」の精神に(のっと)った実践をすることで、SDGsの活動に参加してまいりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆おかげさまの心 ~あらためて「知足」を考えてみよう~

 

 妙心寺派花園会の推進テーマである「おかげさまの心」。

 この言葉とのつながりを考えながら、以下、「知足」を実現するあり方について少し理解を深めたいと思います。

 

 ◇もったいない

 

 ケニア出身の女性環境保護活動家、ワンガリ・マータイさん(1940~2011)は、来日した時に「もったいない」という日本語を知り、とても感銘を受けたそうです。「もったいない」とは、物の価値を十分に生かしきれず無駄にしている状態や、そのようにしてしまう行為を見て嘆かわしく思う気持ちです。

 マータイさんは、それまでの活動で合言葉としてきた「3R」をたった一言で見事に表現している「MOTTAINAI(もったいない)」という言葉を世界中に広げていきました。

 そのマータイさんの活動のスローガンであった環境保護に関する「3R」とは次のようなものでした。

 

 〇Reduce(リデュース)=消費削減

 

  無駄・非効率的・必要以上な消費・生産を抑える(行わない)こと。

 

   無駄遣いをしない

    水を流しっぱなしにしていませんか?物を買いすぎていませんか?

 

 〇Reuse(リユース)=再使用

 

  一度使用された製品をそのまま、もしくはその一部分をそのまま再利用すること。

 

   今あるものの価値を見直す

    古くても、まだ使えませんか?

    〈リサイクルショップの利用、発展途上国への寄贈など〉

 

 〇Recycle(リサイクル)=再生利用

 

  一度使った資源(不用品、廃棄物)を回収・再生して有効利用すること。

 

   使い終わったものをその後も有効に使う

    その資源、まだ使えませんか?

    〈古紙、アルミ缶、ペットボトルなどは別の資源として利用できます〉

 

 私たちが生きていくために必要なものはたくさんあります。マータイさんの「3R」と「もったいない」の精神をつないだもの。それはすべてのものに有難味ありがたみを感じて大切にしていくことにあるのでしょう。

 

 

 ◇吾れ唯だ足るを知る(吾唯知足)

 

 ここで「足るを知る」の持つ意味を今一度、復習して考えてみましょう。

 人間のあらゆる苦しみは、尽きることがない欲望に原因があります。何か欲しいものを手に入れても、すぐに次のものに目が移り、「あれもほしい!」「もっとほしい!」という欲望が、次から次に限りなく湧き起こってきます。

 とは言え、本当に必要なものは手に入れなければなりません。もちろん盗んではいけませんが、決して足りないものを買わずに我慢しなさいというのではありません。

 「足るを知る」という言葉が示しているのは、今、自分に与えられているもの(所有物、環境など)に感謝の気持ちを持ち、その有難味を知るということなのです。この有難味が分からなければ、どんなに高価なものを持っていても、どんなにたくさんのものを持っていても、決して満足できません。

 

 

 ◇世界でいちばん貧しい大統領

 

 南米・ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカ氏(1935~)は在任中、大統領公邸には住まず、郊外(農村地帯)の3部屋しかない一軒家に奥さんと住んでいました。運転手付きの立派な車に乗るのではなく、友人から譲ってもらった車を自分で運転して通勤する。いつも質素な背広にノーネクタイのシャツ姿。給料のほとんどを貧しい人たちのために寄付し、自分は必要なお金だけいただいて暮らしていました。

 そんな彼のことを、人はいつしか「世界でいちばん貧しい大統領」と呼ぶようになりました。しかし、ムヒカ大統領は本当に貧しかったのでしょうか。

 本人いわく、「わたしは、自分を貧しいとは思っていない。いまあるもので満足しているだけなんだ。」

 2012年、ブラジルで「国連持続可能な開発会議(通称「リオ会議」)」が開催されました。環境危機や経済問題について話し合われたこの会議で、ムヒカ大統領のスピーチは拍手喝采を浴び、その内容はのちに日本でも翻訳して出版されました。

 ムヒカ大統領は、人々が今よりももっと豊かになって、ほしいものがどんどん手に入るような裕福な社会を望んでいることを憂い、次のように述べています。

 

 

 人類がほらあなに住んでいた時代の生活にもどろう、と提案しているのではありません。時代を逆もどりさせる道具を持とうと言っているのでもありません。

 そうではなくて、いまの生き方をずるずると続けてはいけない、もっとよい生き方を見つけないといけないと言いたいのです。わたしたちの生き方がこのままでよいのか、考え直さないといけない。そう言いたいのです。

 古代の賢人エピクロスやセネカ、そしてアイマラ民族は、次のように言いました。

 「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっととほしがることである」

 このことばは、人間にとって何が大切かを教えています。

 水不足や環境の悪化が、いまある危機の原因ではないのです。ほんとうの原因は、わたしたちがめざしてきた幸せの中身にあるのです。見直さなくてはならないのは、わたしたち自身の生き方なのです。

 

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』汐文社より抜粋

 

 

 「物の豊かさという価値観」から「心の豊かさという価値観」への転換。今こそ、私たちは「本当の幸せ」をめざしていく時ではないでしょうか。

 

 

◇「おかげさまの心」 ~私たちにできるSDGsへの取り組み~

 

 仏教には「自利じり利他りた」という教えがあります。「自利」は、自ら利益を得ること。「利他」は、他人に利益を与えること。自らが幸せを得て、そして人を幸せに導く。つまり「自利・利他」とは「私の幸せをみんなの幸せに、みんなの幸せが私の幸せに」という教えであり、これが万人の救済をめざす仏教の大切な理念なのです。

 いまさら言うまでもなく、私たちは、自分一人の力で生きているわけではなく、自分を支えてくれている多くの人や物、自然の恵みによって生かされています。そのことを思う時、周りの恩恵に対して感謝せずにはいられない気持ちが溢れ出します。そして、世界中すべての人の幸せを願わずにはいられなくなります。

 周りへの敬意と感謝の気持ちをいだ、慈しみの心を拡げ及ぼしていく。それが「おかげさまの心」なのです。

 私たちにできるSDGs。みんながお互いに「おかげさまの心」で生かしあい支えあい、みんなの幸せをめざしてまいりましょう!
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