法話の窓

足るを知る ー七福神の思いー

 澄み渡る青空に白い雲が浮かび、紅葉とのコントラスト、まさに爽やかな日本の秋ですね。暑い暑い夏を越え、やがて冬来たる間の、しのぎよいホッとできる季節です。

 ところで、平成から令和へと改元の今年、私の小寺に、「七福神」石彫り像が建立されました。来たりし人々に福徳あらんことを願いて。
 七福神とは、次のような福徳をもたらす神のことです。

 太鼓腹の「布袋和尚」平和を願い福を呼ぶ。

 えびす顔の「恵比寿天」商売繁盛益々栄え。

  木槌ふりふり「大黒天」五穀豊穣・開運金運財宝を。

  りりしいお顔は「毘沙門天」勇気を与え、ふるいたつ。

  琵琶を奏でる「弁財天」智慧・才知を養い、音楽芸能に力を加え。

  鹿を伴う「福禄寿」延命安泰を。

  長い頭の「寿老人」健康長寿大いに願い。

                                    (解釈は諸説あり…)

 さて、あなたは七福神にどんな願いをされるでしょうか?

 私たちには様々な欲望があり、きりがありません。願いは人それぞれでしょうが、幸せを求める心の表われでもありましょう。物や心の満足を求めて――。

 しかし、神様には表と裏が一体であると聞きました。即ち、幸せ神には反幸せ神がくっついているとか・・・。
 それは、私たちが自分の欲望に凝り固まったものを戒める教えと思います。他の人への思いやり、他の人の幸せを思える心を養うために……。

 知足(足るを知る)という教えがあります。七福神は宝船に乗っていらっしゃいます。建立した石彫り像には“宝”字の所に、“※吾唯知足(われただたるをしる)”を絵文字風にしたものをはめこみました。
 あまり欲張るなよ、足りてあることを知りましょう。有形無形に恵まれている事に気付かせてもらえたら――。
 「笑う門には福来たる」「三門くぐれば七福ほほ笑む」。
 和やかな笑顔で、秋を楽しみましょう。

 

渡邊 俊明 

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