法話の窓

「自然自然」

 さまざまな問いに答えてくれるAIが話題になっているので、私も試しにAIに質問してみました。

 「新緑が映える季節に、みんなが清々しい気持ちになる禅の法話を考えてください」

 するとAIは10秒くらい考えた後、「『自然の息吹』というテーマがぴったりだと思います」と書き始めました。
 「この時期、自然は息吹を強め、新緑が生い茂り、花が咲き誇ります。しかし、風が吹けば花びらが舞い、葉っぱは揺れ、自然は常に変化しているのです」
 「この自然の息吹を通して、我々は生きることを学びます。自然に身を任せ、自然に合わせて行動することができれば、自然の営みに共感し、生命力にあふれる人生を送ることができます」
 「自然の息吹は、我々の内なる息吹とも深く繋がっています。私たちは自分自身の呼吸を意識し、深い静けさや調和を見出すことができます」
 「自然の息吹を通して、私たちは自分自身や周りの世界とのつながりを感じ、清々しい気持ちになることができます。禅の修行は、このような自然との共感や内なる平和を育むことから始まると言えます」

 おーすごい。なるほどなるほど、自然の息吹か。
 そこで更に「この『自然の息吹』という言葉にピッタリ合う禅語も教えてください」と質問しました。するとAIは「ピッタリな禅語は『自然自然』です」と答えたのです。

 ん?「自然自然」なんて禅語はないぞ。ああ、これが問題になっているハルシネーション(AIがもっともらしい嘘を言う)かとがっかりしたけれど、考えてみれば今までの禅語だって誰かの造語。自然という言葉は元々は「じねん」と読み、「自(おの)ずから然(しか)り」、そのままの状態という意味だから、「自然(しぜん)の中で自然(じねん)、すべてをそのまま味わう」という意の禅語をAIが作ってくれたのかな。

 そんなことを考えながら今夜は坐禅会。みんなで本堂の縁側に坐りました。だんだん暗くなっていく庭。目の前を通る野良猫。ポツンポツンと雨音。オオヤマレンゲの芳醇な香り。そのままがそのままそこにある。「自然自然」か、悪くないかも。

曦 宗温

 

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