法話の窓

春彼岸〜花のように(2013/03)

 お彼岸(ひがん)とは春分・秋分の日を中日(ちゅうにち)とした七日間を言います。このお彼岸には、日頃無事に日暮らしさせていただいていることを感謝し、ご先祖のお墓やお寺にお参りいたします。
 またこの期間には、仏さまの教えに照らして私たちの普段の生活を省(かえり)みるとともに、その教えを実践(じっせん)していく機縁(きえん)とする時でもあります。現代風に言いますならば、『仏道実践週間』と名付けることもできます。
 『仏道実践』といっても難(むずか)しく考えないで下さい。
 例えば、自分が他人からしていただくと嬉(うれ)しいことを、誰かにしてさしあげれば良いのです。人の為(ため)にお返し続けることを《利行(りぎょう)》と言います。

 

     花のたましい

    ちったお花のたましいは、
    みほとけさまの花ぞのに、
    ひとつのこらずうまれるの。

    だって、お花はやさしくて、
    おてんとさまがよぶときに、
    ぱっとひらいて、ほほえんで、
    ちょうちょにあまいみつをやり、
    人にゃにおいをみなくれて、

    風がおいでとよぶときに、
    やはりすなおについてゆき、

    なきがらさえも、ままごとの
    ごはんになってくれるから。

                     (金子みすゞ)

 

 この詩はは花を通して、私たちがどう生きることが仏さまの願いにかなうのか教えてくれているのです。


 ・優(やさ)しくあること。
 ・自然の摂理(せつり)に従(したが)うこと。
 ・誰にでも微笑(ほほえ)むこと。
 ・惜(お)しむことなく与(あた)えること。

 

 これから暖(あたた)かくなると皆さんの周(まわ)りにもいろいろな花が咲(さ)くことでしょう。そんな身近(みぢか)な花たちも、私たちにさまざまなことを教えてくれています。皆に喜ばれるようなことが実践できたら素晴(すば)らしいですね。
 そして花は短い命を精(せい)いっぱい生きてやがて実を結びます。私達も人に喜ばれるように精いっぱい生きてゆくことができれば、それはいのちを生かす実践行であり、そこから素晴らしい、良い人生の果実(かじつ)が得られることでしょう。

 

 

寺町宗峰

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