法話の窓

018 幸せ?不幸せ?

 平太くんは教室で勉強中にうっかりオナラをしてしまいました。あまりにくさかったので、おこった先生は平太くんを教室から外に出させました。平太くんは廊下に立っていましたが、どうしても笑いが止まりません。

すると校長先生がやってきて、教室の外で笑いながら立っている平太くんを見つけ、こう話しかけました。
「平太くん。ここで笑いながら立って何をしているのですか?」

平太くんは言いました。
「オレ、教室でオナラをこいちゃったんですよ。でもって、先生に追い出されちゃったんです」

校長先生は言いました。
「でも、どうして平太くんは笑っているのですか?」

平太くんは言いました。
「だって、教室のみんなはオレのオナラがただよってるところにすわってて、オナラをこいたオレは教室の外できれいな空気を吸ってて、なんだか幸せなんです」


クワガタ

 これはふしぎな話ですね。外にいる平太くんはきれいな空気をすって幸せと思っています。でも中にいるクラスのみんなはイスにすわって
「ボクじゃなくて良かった」とか
「平太くんより勉強ができてよかった」とか
「平太くんかわいそう」とか思っているんですよね。

いったい、どっちが幸せでどっちが不幸なのでしょうか。

よく考えてみれば、幸せとか不幸とかいうのは自分が感じるものであって、他の人が決めるものじゃないと思いませんか。

 お寺では毎日ローソクを灯してお経をとなえます。毎日ローソクを見ているとすごいなあと思います。だってローソクは自分自身が明るいから明るいところへ行く必要がありません。自分がいつも幸せだと感じているような気がします。そして、自分が明るいからまわりも明るくなります。

 おシャカさまはこの世は苦しいことがいっぱいある、と言われました。そして、ただ苦しい、苦しいと言っても何も解決しないよと言われました。でも、苦しいことの中でもしっかり自分の心を見つめれば幸せは見つかるんだよ、と教えられました。平太くんはみんなが「不幸」だなあと思うようなことで「幸せ」だなあ、と感じました。

 平太くんは自分で幸せを見つけたのです。みなさんもいっぱい幸せを見つけようね。

江口潭渕

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