法話の窓

022 お母さんは休め

『お母さんは休め』って何のことだか知ってますか?知らない人は、「オカーサンハヤスメ」とカタカナに直してみましょう。それぞれのカタカナ文字には意味があります。オはオムレツ、カはカレーライス、サンはサンドイッチ、ハはハンバーグ、ヤは焼きそば、スはスパゲッティ、メは目玉焼きです。「オカーサンハヤスメ」は、子供たちが大好きな食べ物の代表選手なのです。

 これらは全部、スーパーやコンビニで売っているものです。ですから、これらのごちそうを作るのにお母さんが、台所で忙しく働く、ということはありません。せいぜい電子レンジでチ―ンして、食べ終わったらカラをゴミ箱へポイ。『お母さんは休め』というのはそういうことだったのです。

 それから『お母さんは休め』の食べ物はやわらかいものばっかりです。オムレツ、カレーライス、サンドイッチ、ハンバーグ、焼きそば、スパゲッティ、目玉焼きなどの食べ物は、あまりかまなくても食べることができます。

 食事を食べるのに私たちはどのくらいの回数噛んでいるのでしょうか?ある大学で実験して、しらべました。現代だけでなく、過去のさまざまな時代の食事を再現して、それらを学生さんに食べてもらって噛む回数を数えて比べたそうです。それによればそれぞれの食事を食べ終わるまでにかかった回数は、弥生時代は三九九〇回、鎌倉時代は二六五四回、江戸時代は一四六五回、でした。これに対して現代はわずかに六二〇回。現代の人々は1回の食事で弥生時代の人々の六分の一しか噛んでいないのです。昔に比べると食べ物が随分とやわらかくなっているんですねぇ。このままだと、いずれ食べ物は流動食ばかりになってみんな歯なし人間になってしまうかもしれません。

 でも、食べるということは単に『歯』や『あご』だけの問題ではなく、目の発達などにもおおいに関係があるのではないかと、最近では考えられています。つまりよくかめば噛むほど視力がよくなるとか・・・。ですから特に子供たちにある程度硬いものを食べさせたほうがよい、という意見が多く聞かれるようになりました。 

 今夜のメニューは『めざし』にするっていうのはどうですか?たまにはあごがだるくなるくらい、何度も何度もかみ締めてみましょう。そしてご飯の後かたずけは、「お母さんは休め」って言って、今夜は代わってあげましょう。お母さん大喜びしますよ。  

豊岳澄明

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