法話の窓

044 思ったとおりにならないときには

皆さんは、さか上がりがうまくできなかったり。とび箱がうまくとべなかったり。テストの成績が、思ったほどよくなかったり・・・・・。今までに、そんなことはありませんでしたか?

毎日のせいかつは「思ったとおりにうまくいく」ことばかりではありませんね。

さて、皆さんは「自分の思ったとおりにならないとき」ってどうしていますか?

悲しくなったり、腹がたったり、ムシャクシャしているかもしれませんね。

仏教をひらかれたお釈迦さまは、どんなときにも「正しく努力(どりょく)すること」の大切さを教えておられます。これを、精進(しょうじん)といいます。

和尚さんが小学校1年生のときのこと。ちょうどそのころ、公園で凧(たこ)あげがとてもはやっていました。
あるとき、近所のおもちゃ屋さんに行って、人の形をした凧(たこ)を買ってきました。おこづかいをためて、やっと買うことができたのでした。

さて、皆さんは凧(たこ)にシッポが必要だということを知っていますか?新聞紙を細長く切ってなが~いシッポをつけるのです。

和尚さんはどうしてもシッポのつけ方がわかりませんでした。家には、教えてくれるお父さんもお母さんもいません。

「困ったなあ~、でも早く公園で凧(たこ)をあげたい!」

何とか自分で工夫して新聞紙でシッポをつけて公園に行ったのですがクルクルまわってしまい、どうしてもうまくあがりません。そうするうちに凧(たこ)が破れてきました。

あせれば、あせるほどうまくいきません。家に帰ってなんどもシッポを付けかえました。それでもうまくいかない。「あ~もうだめだ。」

「ただいま~。」お母さんが帰ってきました。なぜか悲しくなって、涙があふれてきました。お母さんは破れた凧(たこ)を見て「よく、がんばったね。」といってほめてくれました。

「もう一度、自分でつくるから教えて。」

何とか自分の力で、新聞紙を切って新しいシッポを作り、破れたところもきれいに修理しました。ツギハギばかりで、チョッとかっこ悪いけれど、凧(たこ)が完成しました。

「今度はどうかな。さ~公園に行ってあげるぞ。」

「やった、やった!あがった、あがった!」

凧(たこ)はグングン空にあがってゆきました。

いつのまにか子供だった和尚さんは、それまでのことは、すっかり忘れて、夢中で凧(たこ)をあげていました。「あ~楽しかった。」

作るのが大変だった分、凧(たこ)が空高くあがったとき、とってもうれしかったことを覚えています。

皆さんも「思ったとおりにならないこと」ってあるでしょう。

でもね、「あきらめないで」ときには誰かの力もかりて、いろいろと工夫してみることが大切です。

苦労してできたときの喜びは、皆さんをより大きく立派にすることでしょう。これが、お釈迦さまの言われている精進(しょうじん)することなのですよ。

松竹寛山

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