法話の窓

077 ましょくからね、ゆくりでいから

 美琴(みこと)さんは大分県別府市に住んでいます。養護学校にかよう中3の女の子です。

 美琴さんは15年前、お母さんのおなかから出てくる予定の日より何ヶ月も早く生まれてしまいました。それが原因でたくさんの難しい病気になり、その結果、彼女は多くのハンディキャップを持って人生を歩んでいるのです。寝返りをうつのがやっと、座る事さえままなりません。声は出るけど、言葉にはなりません。人の言う事は理解できるのに・・・。

 テレビやビデオゲームを見るのが大好きで、家の中ではよく見ます。外出のときは車椅子に身体をしっかり結びつけて、両親や兄弟に押してもらいます。彼女は、全員とてもにぎやかで、暖かい心を持っている家族に囲まれて、素敵な生活をおくっています。

 がんばり屋さんの彼女は、まわりの人が、ちょっと無理かな、と思うようなことにもチャレンジしていろんなことができるようになりました。

 そんなことのひとつが、パソコンのキーをゆっくり一つ一つ押しながら、日記や手紙を書くことです。

それを美琴さんのブログ 
(美琴の グーで「一文字」日記 伝える気持ち)
  http://blog.livedoor.jp/mikotohitoshi/
の中で読むことが出来ます。彼女がおじいちゃんのお誕生日の日に、おじいちゃんに書いた手紙を紹介します。


おたんじょうび おめでとうございます。

ひっとぱれえどに つれていてください

おねがいします

ましょくからね ゆくりでいから。

これからも きてから くわせてください おねがいします、

ましょくから おふろも はいろうね がんばて。

                             みこと

 『ましょくからね ゆくりでいから』は「待っちょくからね、ゆっくりでいいから」ということです。美琴さんは、人から「待っちょくからね、ゆっくりでいいから」って言ってもらうととても安心するそうです。だからおじいちゃんを思いやって、手紙にそう書いたのです。

 とても思いやりのこもった素敵な言葉だと思いませんか?「ましょくからね ゆくりでいから」

豊岳澄明

ページの先頭へ