法話の窓

080 みなさん、4月8日は何の日ですか?

 みなさん、4月8日は何の日ですか?それは、お釈迦さまのお誕生日です。花祭りとして花御堂(はなみどう)を飾り小さなお釈迦さまに甘茶をかけてお祝いする日です。

 今から2500年ほど昔、美しい花々が咲き乱れるルンビニーの花園で、お釈迦さまはご誕生になりました。その時、空からよい香りのする雨が降りそそいで、お釈迦さまのお身体を洗いきよめたと言い伝えられていることから、お釈迦さまの誕生日をお祝いする様になったのです。

 この花祭りに飾る花御堂の真ん中にお立ちになっている、小さなお釈迦さまはお釈迦さまの生まれた時のお姿で、右手を上に天を指し、左手を下に地面を指してある言葉をさけんだと言い伝えられています。もちろん、生まれたばかりの赤ん坊のお釈迦さまが立っているはずもなく、まして言葉を話すはずもありません。お釈迦さまもオギャーと生まれてきたに違いありません。それならなぜ、この様な言い伝えが今まで大切にされて来たのでしょうか。

 それは、小さなお釈迦さまのお姿とさけんだある言葉に、お釈迦さまが私たちに伝えたかった大切な教えを表しているからです。

 まずは、お釈迦さまのお姿についてお話いたしましょう。お釈迦さまの右手を上に天を指す姿は、善き目標に向かい、努力する気持ちを『上求菩提(じょうぐぼだい)』、左手を下に地面を指す姿は広く多くの人を助けたい願い『下化衆生(げけしゅじょう)』を表し、人としての大切な生き方を示した姿なのです。

 つぎにお釈迦さまが、さけんだある言葉についてお話いたしましょう。お釈迦さまが、さけんだある言葉とは「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」意味としては「生まれて来た、かけがいのない自分のいのち、これが世の中で一番尊く大切なのだ-意訳-」です。

 私たちの一人一人が自分のいのちを大切だと思うように、私たちの前の人も同じように自分のいのちが大切だと思っています。すなわち、いのちの賛歌、尊さを表しています。

 花祭りはお釈迦さまのご誕生をお祝いするとともに、私たち一人一人がこの世に生まれた来たいのちの尊さに目ざめ、自分を大切に、他の人々をも大切にすること教えてくれる大切な日なのです。

 春、陽射しは明るく暖かく、庭や野には色々な花々が咲きあふれて、なんとなく気持ちもうきうきしてきます。新しい出会いの時です。新しい先生やお友達にも出会うでしょう。人は一人では生きていけません。出会う一人一人が大切なです。大切ないのちが、たがいに支えあって生きています。

 さあ皆さん、一人一人が花御堂の小さなお釈迦さまの様に、おたがい大切な一人なのだと気付いて、自分にできること他の人にしてあげられること、よく考えて、自分には厳しく他の人にやさしく、仲良く楽しく新学期を過ごしてください。お釈迦さまは私達の幸せを願って教えを説かれたのです。この世に生まれた大切ないのち、それが私達、大切に過ごしたいものです。

 

何かをしよう
みんなの人のためになる
何かをしよう
よく考えてみたら自分の体に合った
何かがあるはずだ
弱い人は弱いなりに
老いた人には老いた人なりに
何かがあるはずだ
生かされて生きている御恩がえしに
小さいことでもいい
自分にできるものをさがして
何かをしよう
一年草でも
あんなに美しい花をつけて
終わってゆくではないか

        -坂村真民-『何かをしよう』-

石川元信

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