081 若い頃のお釈迦(しゃか)さまのなやみ
前回のおはなしは読んでくれましたか。4月8日は、「花まつり」といい、お釈迦(しゃか)さまの誕生日でしたね。
ところで、お釈迦(しゃか)さまはどんな人だったのでしょうか。
お釈迦(しゃか)さまは、今から2500年前の人です。本名をゴータマ・シッダールタといい、現在のネパール付近(インド北部)を治めていたシャカ族の王子さまでした。
シダールタ王子が4月8日に生まれると、すぐにお母さんが亡くなり、そこでお母さんの妹に育てられ、すくすくと成長します。
少年の時にはいろいろな勉強をし、スポーツにはげんでいました。そして、学問についてはもう先生から教えてもらうことがないほど、すべてのことがわかっていました。また、スポーツもたいへんよくできたといわれています。
やがて青年になり、シッダールタ王子はかわいらしいお嫁(よめ)さんと結婚(けっこん)しました。そしてラゴラという名の男の子が生まれ、シダールタ王子は幸せでした。
しかし、ある時にシッダールタ王子は、お供(とも)をつれて、自分の城の東の門から町に出ると、老人に会いました。はじめて人間が老いるということ知ったのです。
次に南の門から出かけると、病人に会いました。病気のことが、心にひびきます。次に西の門から出ると、死んでいる人にあいました。すべての人間は、やがて死ぬんだということが、たいへんなショックでした。
シッダールタ王子にとっては、今は勉強ができ、スポーツができたとしても、いつか人間は、「老い」「病み」「死ぬ」ということに出会うことがわかり、ショックをうけました。
最後に北の門から出かけると、修行者(しゅぎょうしゃ)に会いました。そのすがすがしく清らかな修行者(しゅぎょうしゃ)の姿に感動します。「老い」「病み」「死ぬ」の問題を解決するには、この修行(しゅぎょう)の道しかないと思い、出家(しゅっけ)する道を選んだのです。出家(しゅっけ)するとは、修行者(しゅぎょうしゃ)つまりお坊さんになることです。この後、きびしい修行(しゅぎょう)のあと、シッダールタ王子は、お悟りをえて、「お釈迦(しゃか)さま」と呼ばれるようになったのです。
皆さんも、いろいろ悩(なや)んだり、苦しんだりすることがあると思います。シッダールタ王子も皆さんと同じように悩(なや)んだり、苦しんだりして、やっと自分の生き方を見つけました。仏教は、人生の悩(なや)みや問題に負けない心を作る教えなのです。
このようにいろいろな仏教のおはなしをきくこと、つまりお釈迦(しゃか)さまの教えを勉強することによって、今悩(なや)んでいることや、苦しんでいることの解決するヒントがみつかることを信じています。
さぁ、仏教や妙心寺といっしょに新しい学年を楽しくすごしましょう。
谷玄康