【随縁】お墓参り(2010/09)
稲穂が黄金色に色づきはじめた畦道に、彼岸花が見事に真紅の彩りを添えています。
小学2年生の児童の『おはかまいり』と題する作文です。
きのう、おばあちゃんと、ぼくと、いもうとのみよこと、おはかまいりにいきました。おかあさんは、あとから水をやかんにくんで、花をもってきました。
花をかざって、水をおはかにかけました。せんこうもたてました。
みんなで手をあわせて、まいりました。みよこが手を「チッ・チッ・チッ」と3つたたいたら、おかあさんが「おはかや、ほとけさまは、手をあわせるだけで、おまいりすれば、いいんやよ」といいました。
おばあちゃんが「みよは、まんだしらんのやで、いいんやさ、しんだおじいちゃんも、みよが、手をたたいたって、にこにこして、見といでるやろも」と、いいました。
おばあちゃんは、目をつむって、口をうごかして、なにか、ないしょを、しゃべっとるみたいにして、まいりました。
ぼくは、おじいちゃんのことは、少ししか、おぼえていませんが、おはかに、心の中で「おじいちゃん、こんにちは、いつもぼくたちを見ていてくれて、ありがとう。ぼくは、もうじき、3年生になります。」と、いってまいりました。
ー 後略 ー
(岐阜県益田郡小坂町・早子 博 氏提供)
お彼岸の1日、おばあちゃんを中心にして、和やかにお墓参りをしている様子が目に見えるようです。
お盆やお彼岸に、ご命日に、家族揃ってのお墓参りも、だんだんと難しくなりつつあります。家族形態の変化、家族それぞれに忙しい、等々。なかなか、「家族揃って」とはいかなくなってきました。
祖父、祖母、父、母、兄弟姉妹、それぞれに役割があり、その役割が相まって、風習、儀礼などの伝達がなされ、宗教的な情操が育まれていくのではないでしょうか。
相次ぐ、若年層の痛ましい事件を思うにつけ、今更ながら、幼児・低学年期に於ける宗教情操教育の重要さが思われます。それは知識ではなく、「躾」として身につける姿、形です。姿、形として身についた心は、一生、その人の支え、心の柱となりましょう。
微笑義教