法話の窓

064 そのうち

 先日、遂に自民党税制調査会は、所得税の扶養控除に年齢制限を新設し、成人したニート、フリーターを対象から外す方向で検討に入りました。これは、成人したニートらは税制を圧迫している一因ともいえるからです。また、若年層の就労の促進という狙いもあるようです。2005年版の労働経済白書は、15~34歳のフリーターは、2003年に217万人となった後、2004年で214万人、2005年は201万人と減ってはいるものの大変な人数です。

 パート勤めから社長になった女性や青年海外協力隊とか目的を持った一時的就労、子育てや介護など家族のいろいろな状況のなかで致し方のないパートもあります。しかし、働き盛りの健康な若者が定職につかず、"自由に働いている""働く意欲がわかない"というのは、やはり問題です。甘えの構造が見え隠れしてしまうのです。

 かの夏目漱石は、「やろうと思わなければ、横に寝た箸を縦にすることもできない」と言っています。現状に甘えている自分を発見し、とりあえず理屈抜きで目の前の仕事に結果を出してみませんか。

 最後に、どんなに評価されなくても、辛くても、ひたむきに自分の書の人生を歩まれた、相田みつをさんの詩を贈ります。

 『そのうち』
    相田みつを

そのうちお金がたまったら
そのうち子供から手がはなれたら
そのうち時間のゆとりができたら
できない理由をくりかえしているうちに
空しい人生の幕がおりて
そのうち そのうち 日が暮れる

そのうち家でも建てたら
そのうち仕事が落ち着いたら
そのうち...そのうち...そのうち...と
結局は 何もやらなかった
頭の上に 淋しい墓標が立つ
今きたこの道 帰れない

中西東峰

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